NFTが登場する以前から、マジック:ザ・ギャザリングは、レアな価値や効果のあるカードがあり、効果で取引されていることは、多くの愛好家に知られています。しかも、取引されているのは動画やデジタルイラストではなく、本当に印刷されたカードそのものなのです。
直近の出来事ですが、マジック:ザ・ギャザリングを運営しているMTG社が非公式のNFTプロジェクトに参画しているとのニュースが報じられました。
しかし、Wizards of the Coastはこのプロジェクトについての関係を否定し、他社のプロジェクトに参画せず、独自にNFTの取り組みを行う意向であること、既にそのための作業を行っていることを明らかにしました。
・MTGDAOの興亡
話題となっているNFTプロジェクトは、「mtgDAO」と言われています。
このプロジェクトでは、すでに発行されているMTGのカードをNFT化し、ブロックチェーンに接続されたデジタル資産として価値のあるものとし、取引を可能にすることです。
実際、このプロジェクトは次のように具体的な道筋が建てられているようなのです。
今までであれば、プレイヤーがゲームをプレイするためには、紙のカード、Arena上のカード、MTGO上のカード…とにかく、実際のカードが必要となっていました。
そして、今回のNFT化は、一般的にカードの所有権を取引するためではなく、そのカードがmtgDAOフォーマットでプレイできるための「価値」として使用されることになります。
私たちは、ゲームソフトを作ったり、公式カードのコピーを作るだけがプロジェクトとは理解していません。
私たちが提供するゲームは、Arena、MTGO、テーブルトップなど、さまざまなステージにおいて、本物のカードを使ってプレイが可能です。
NFTは、チケットや一時的な所有権を表すために活用されるのであり、著作権におけるカードの所有権とは別の価値観を与えられるのです。
しかし、NFTによって問題が解決したわけではありません。
行動を起こすWizards of the Coast
mtgDAOは、Wizards of the Coastの顧問弁護士から受け取ったとされる文面の一部を公開しています。
この文面は、ビジネスライクに仕上げられた内容でありながら、このプロジェクトに対する立場を明確に宣言している文面となっています。
メールの一部を抜粋すると、次のように記載されています。
MAGIC への熱意が伝わっていることは十分に理解できます。
ギャザリングに対する熱意が本物であること、そのことに感謝しています。
ウィザーズのチームも、あなたが『マジック:ザ・ギャザリング』をより多くのユーザーがプレイするために新しいフォーマットを開発していることや、そのために努力に対して感銘を受けています…もちろん、その成果として実際に完成されたプロジェクトを見ると、その間名はより強く感じられるものです。
ですが、これは事実として認識していただきたいことを残念ながら述べなくてはなりません…あなたが意図するように、ウィザーズ社の商標や著作権を含む、あらゆる知的財産の使用ができないことと、現状が違法であることは、紛れもない事実です。
あなたは、物理的なカード、Arena上、MTGO上にてカードを購入したプレイヤーだけがNFTの恩恵を受け、MAGICカードの複製を許可されていることから、プロジェクトは合法であると理解しているようですが、これは勘違いと言わざるを得ません。
MAGICカードなどの著作物を、形式を問わず複製することは、著作権者のみが持っている権利であり、あなたにはその権利を有している資格がありません。
著作権法には、バックアップや「アーカイブ」コピーを作成することができる特権もありますが、あくまで例外規定であり、その特権はコンピュータプログラムにのみ有効な特権なのです。
つまり、NFT化されたカードなどには及ばない特権であることは、十分理解していただきたいところです。アメリカ著作権局の関係資料を参照いただければわかります。
ここまでのやり取りを見ただけでも、著作権に関連する諸問題が障壁となって、NFTの開発にはまだまだ時間がかかることがわかります。
中には「MTGの売上を伸ばす契機」という見方をしている人も多く、プロジェクト自体に賛同する声もあることは事実ですが、NFT自体にオリジナリティがないことは事実です。
そのこともあり、Wizards of the Coastの強烈な反応について、否定することはできないと思われます。
・今後、公式mtg nftsはどのように変化するのか?
この点は、NFTマニアとMTGファンの両方が注目しているところかもしれません。
今まで紹介したメールには、もしかしたらWizards of the Coast自身が取り組んでいるNFTプロジェクトにMTGが正式に関与することを期待させる内容もいくつか見られます。
以下に、その内容をいくつか紹介します。
現在、ウィザーズはNFTとMTGに関する計画を検討しています。
ウィザーズは、NFTと「マジック:ザ・ギャザリング」のカードに関する計画を立て、それが成功するかどうか、実施可能なのかをあらゆる観点で検討していますが、現時点で決定している事項はありません。
そのため、現時点においてウィザーズの知的財産に関連するNFTを他社が用いることは、禁止されているのです。
今回のコメントも、mtgDAOに対する主義主張や方針を明らかにしているコメントになっていますが、100%ダメというわけではないことは伝わってきます。
著作権の問題を解決し、MTGとの公式NFTプロジェクトが立ち上がる可能性は、決してゼロではありません。